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コラム

あきれてものも言えない、日本の対中姿勢

日本外務省の報道によれば、2021年4月5日、茂木外相と中国の王外相が電話対談し、概ね、以下が話されたとのことです

〇来年の日中国交正常化50周年に向けて相互にいろいろな分野で交流を進める、〇日本は、尖閣領海への中国公船(中国国内法によれば武器使用が許可されている海警船)の侵入、そしてウイグル自治区での人権蹂躙、南シナ海情勢を懸念している、〇ともに日中経済関係を安定的に進める、〇日本は中国に、北朝鮮の非核化と拉致問題の早期解決に向けた支持を求める

一方、中国外交部の報道によれば、同会談で、概ね以下が話されたとのことです。

〇日中関係の安定は、両国のみならず世界にとって重要である、〇日米同盟は特定の国に向けたものではない、〇日本は中国と常に意思疎通し、相互信頼を増進させ、来年の日中国交正常化50周年をともに祝うためによい雰囲気をつくる、〇東京五輪と北京五輪を、相互に支えあう

日本外務省と中国外交部では、報道の内容が異なっているところがあります。

欧米主要国は2022年の北京冬季五輪をボイコットする意向を、ほぼ固めているとのことです。茂木外相は、日本は北京五輪を支える、などと発言したようですが、それは本当なのでしょうか? 欧米主要国と足並みをそろえるのが日本の立場ではないでしょうか。また、来年の日中国交50周年に向けてに日中ともに交流を深め、より雰囲気をつくることで双方が合意しているようですが、この合意は、欧米主要国に日本の信頼を損なうもとになると思われます。何故、そこまで中国に歩み寄る姿勢をとるのでしょうか?! 

今回のこの外相会談は、4月15日~18日の菅首相訪米に先立って、中国が日本に対し、日本がアメリカとともに中国に対して強硬姿勢をとらないよう、くぎをさしていると受け止めることができます。

ところで最近、次のようなことがありました。

〇石垣島市が尖閣の島に「登野城尖閣(とのしろせんかく)」という「字(あざ)」を示す標識を立てようとしたところ、日本国政府が反対した、〇外国人への土地売買にかかわる新法(自衛隊基地の近くの土地などを中国などに売却する際の厳しい取り決めなどを規定するもの)に親中党である公明党が反対した、〇技術も中国に投資して造った工場・設備も、すべてがいずれは中国の手に渡ってしまうことが明らかなのに、多くの日本の大小企業は依然として中国をサプライチェーンにしている、〇欧米主要国はウイグル自治区のジェノサイドを認定し、香港の民主化運動を支援することを表明しているが、日本は何も言わない。

摩擦を生じさせないことを基調とする外交や対中政策は、中国にはまったく通じません。日本人の約9割は、日本が中国の掌の上でころがされているに等しい状態であると思っていると言われています。

このところ連日のように、尖閣領海(日本国の領土)に中国の多数の公船が侵入し、ここは中国の領海であるとして日本漁船を追尾するありさまです。これは、明らかに国際法違反です。それ以前に、これは「普遍の摂理」に大きく反しています。

しかし日本は「誠に遺憾であり断じて容認できない」「重大な懸念を表明して厳重に抗議し、再発防止を強く求める」、だけです。実際、中国側が尖閣の島に、ここは中国の領土だからと言って上陸したら、日本はどう対応するのでしょう? 「万が一占拠されたら、航空機や艦艇による対地射撃により敵を制圧した後、陸自部隊を上陸させるなど、あらゆる措置を講じて奪回することにしている」という方針があるようですが(防衛白書)、尖閣の島に「登野城尖閣」の字を示す標識を立てることに反対するような政府が、このような作戦を実行できるのでしょうか? 

たとえ今大損しても、歯をくいしばって中国をサプライチェーンから外すことが喫緊の課題と思われます。企業は国際的に信用を保ち、また国益を考えて活動することによってこそ、企業は本当の利益が得られるのですが、何故、経済界のリーダーたちはこのことに気づかず、ひたすら、とりあえずの自社の利益だけを追って中国に依存するのでしょうか? 日本企業のこのやり方は「普遍の摂理」に反しています。

中国で生産されている製品は、日本からの技術、あるいはウイグル人の奴隷労働でつくられたものが多いようです。安価なのでよく売れます。一方、日本企業は、中国で生産することでそれなりの利益は得ますが、利益の多くは中国から外へ出すことはできません。それに、中国に進出した企業が生産したものは、日本のGDPには何ら寄与せず、中国のGDPを増やすだけなのです。中国に進出することは、何ら日本のためにはならないのです。

中国に進出した日本企業で働く日本人によれば、現地のルールに従って誠実に活動していても、地元政府や国の政府機関に睨まれると、いろいろと理屈をつけられ、摘発されるそうです。

日本企業の経営者は、どういう価値判断をもって中国に進出しているのでしょう?

過去に事例があるようですが、日本から中国に派遣されている日本人(約14万人)は、いったん緩急ある時、たちまち中国に拘束され、人質にされると言われています(何ら罪がないのに、理屈をつけて拘束されるとのこと)。ちなみに、アメリカは、2020年、中国に滞在するアメリカ人全員に帰国命令を出しました。帰国しないアメリカ人は自己責任、というのがアメリカの基本スタンスです。日本の場合、いったん緩急ある時、自衛隊が中国内に入って日本人を救出することなど、できません。中国に進出している日本企業の経営者は、こうしたことを知っているのでしょうか? 知っていて、社員を中国に派遣しているのでしょうか? 企業の組合の方たちは、中国への社員派遣に、何故反対しないのでしょう?

こうした状況であるにもかかわらず、冒頭でお話ししたように、日本が中国といろいろな分野で交流を深め、経済関係を進めることを国として約するなど、世界の中で日本が信頼を大きく失うもとです。経済界のリーダーとされる人たちは、大局を見ず、日本のことを考えず、また対中危機感が無さすぎです。

ウイグル自治区の綿を使用する、と明言する日本の企業があります。アメリカ主導によるクリーンネットワークに参加署名をしていながら、中国の企業と共同で経営している日本のIT系企業があります。こうした日本企業の経営者は、一体何を考えているのでしょう?

アメリカとの同盟関係を強固に保つこと、同時に、英、独、仏、オーストラリア、ニュージーランドなど、中国の傍若無人の覇権主義、そして何よりもウイグル自治区での人権蹂躙に強く反対している西側諸国との連帯を強固に保つこと、そして国民の大多数が納得する対中姿勢を持つこと、これらは、日本の為政者が最低限為すことでしょう。日本の為政者は、くれぐれも、中国に毅然と対応していただきたいと思います。日本が毅然と対応することによって、中国も日本に対してきちんと対応するのです。

中国との本格的な交流は、ざっと50年前に始まりました。当時の田中角栄首相が中国との国交正常化を図ったのです。その少し前、田中氏と福田氏が自民党総裁の椅子を争った出来事がありました。これは角福戦争と言われました。この時、佐藤栄作首相は福田氏を推しました。結果、田中氏が総裁選を制し、首相になりました。そして、中国との国交を実現させたのです。(この背景は、さまざまに説明されています) 福田氏の流れをくむのが、安部元首相です。田中氏のもとにいた小沢氏、二階氏らは、今も親中派議員として対中積極交流を図ろうとしています。

今は、遅まきながらにせよ、過去に田中首相によって掛け違えたボタンをはめ直す時です。50年という長い年月、ずっと続けてきた親中施策が間違いであったことを真摯に受け止め、大いに反省し、それを改める時です。まさに「過ちを改むるに憚ること勿れ」です。(今、中国では「論語」は教えられていません)

アメリカは、ざっと50年前、キッシンジャー氏らがしかけ、ニクソン大統領が国交を樹立した対中宥和策が間違いであったことに気づき、それを今、ダイナミックに改めつつあります。

日本の為政者や経済界の人たちは、本当に肝を据えて、日本のために対中姿勢を改めなければなりません。(2021年4月7日)